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怒髪天が、全国ツアー最終日に手渡した熱き思い。アンコールには、山中さわおも登場!

text by 石井恵梨子

【LIVE REPORT】
怒髪天〈ヘヴィ・メンタル・アティテュードツアー 2021〜Mr.ジョーク参上〜〉
2021.05.29 at 恵比寿LIQUIDROOM



怒髪天、最新作『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』ツアー。2月から始まったこちらは、密を避け、集客を半分に減らし、緊急事態宣言下の大阪公演のみを延期としながら、なんとか最終日、恵比寿リキッドルームでのファイナルを迎えることになった。


フロアには約1メートル間隔でテープが貼られ、マス内に収まる約400人はマスク必着&声出し厳禁。不自由きわまりないが、それでも、ライヴがあるというだけで嬉しいのが現実だ。後半、清水(清水泰次/ベース)が「久しぶりにこんなに人が集まってるの見た。やっぱ、嬉しいし、楽しい」と小学生みたいなことを口にし、MCを引き継いだ友康(上原子友康/ギター)は「……ライヴ、最高!」と中学生みたいな感想をこぼしていたが、うん、まったくもって異論なし。音があり、それに呼応し、さらなる気持ちの交換が行える。それだけで心はどれほど自由になることか。


声が出せなければ雄弁なのは手の動きである。SEの「男祭」から全員の手が派手に上がること上がること。〈ハッ!〉の掛け声に合わせて、3・3・7拍子なら任せろとばかり両手を打ち鳴らす。ベタであり、わかりやすいことがこの場合は吉と出る。そして、登場するだけでパッと空気が明るくなる、いかにも景気がイイ!といった感じの増子直純(ヴォーカル)のオーラ。終わりのなさにうんざりするコロナ禍の空気に、これは絶対に必要なものだと感じ入る。お馴染みの第一声「よく来たぁ!」を聞くだけで、なんだか数日分は報われた気分になるのだから、もうご利益と言ってもいいかもしれない。


新曲を軸にしつつ、懐かしい曲、久々に聴けて嬉しい曲などを挟みながらテンポよく進むステージ。4曲目に早くも「オトナノススメ」が放たれれば、客席もまた〈バン・ババン〉に合わせて両手を振り回す。立派なアンセムと言いたい盛り上がりだ。ベタでも何でもこれが好きだと胸を張るバンドと、そんな怒髪天のコッテリ味が好きだと自信満々で手を振るファンの関係性は、売れる/売れないとか時代のトレンドを超えたところでどんどん深くなっているように見える。これと信じて続けることで絆は深まり、周囲のバンドも笑顔で巻き込まれ、35周年には「オトナノススメ」スペシャルバージョンが完成した。本来この曲は2009年、今から12年前に出たシングルだが、〈オトナはサイコー!〉〈青春続行!〉の歌詞は、当時より今のほうが説得力がある。来年のほうが、5年後のほうが、さらにそう思えるのだろう。人生が続く限り唄い続けられるナンバーばかり。怒髪天はそういうバンドだ。


とはいえ、毎度時事問題もしっかり扱っているのである。8曲目「SADAMETIC 20/20」はコロナ禍における人類の危機(!)を真正面から取り上げた壮大な一曲。数多のアーティストがコロナ禍で作った楽曲の中でも、ここまでバカバカしくスケールのでかい曲は他にないと思えるナンバーだ。雄々しく拳を掲げる増子と、その隣でギターを鳴らしまくっている友康は、あくまで本気でやっているから面白い。ふざけ半分で茶化していないから、どこまでも熱い情熱を注いでいるから、直球のロックと壮大なユーモアが両立するのだ。バンド界のお楽しみ係かくあるべし、である。そのお楽しみが暴走するのは中盤の「ヘイ!Mr.ジョーク」。坂詰克彦(ドラム)が王冠を被り、曲間、書くのも遠慮したくなるスーパージョークを3連発。本人がご満悦の様子だったところがまた凄いのだが……なんだかんだ言ってライヴ前より心は軽くなっている。これも怒髪天のチャームポイントだろう。


あれこれ楽しませ笑わせて、すっかり心を軽くさせたあと、ずしりと重いものを手渡しする。それがライヴの根幹だとすれば、この日のハイライトは「孤独のエール」と「ド真ん中節」であった。どちらも自分に向けた応援歌。誰一人わかってくれなくてもお前はお前であれと、どシンプルな言葉で背中を押してくれる大名曲である。増子の第一声を聞いた時、数日分は報われたと思ったが、この2曲を受け取ったあとにははっきりとこう思えたのだった。あと一週間、いや一ヵ月は頑張れるな、と。


さらにアンコール、飛び入りのような気軽さで山中さわお(the pillows)が出てきたことに驚く。彼と怒髪天のコラボEPは2月に発売されたのだが、その中から「グッドモーニング東京」をライヴ初披露。ヴォーカルが二人いる構図自体も新鮮だが、互いに主張しつつ譲るところは譲り合い、〈描いた未来図とは違うけど/悪くもないぜ〉と笑顔で指を差し合う彼らは、まさにオトナノススメ、素敵なオトナの見本のようであった。曲がりくねったバンド街道を、札幌時代から豪快に突き進んできた4人+後輩の現在地。これからも、今後何があっても続いていくんだろうと思わせる頼もしさが、その表情から溢れていたのだった。


文=石井恵梨子


【SET LIST】
01 スキモノマニア
02 明日への扉
03 や・め・と・き・な
04 オトナノススメ
05 シン・ジダイ
06 五月の雨
07 はじまりのブーツ
08 SADAMETIC 20/20
09 憎まれっ子のブーガルー
10 美学
11 ヘイ!Mr.ジョーク
12 タイムリッチマン
13 青嵐
14 駄反抗王
15 星に願いを
16 孤独のエール
17 ド真ん中節
18 ポポポ!
19 酒燃料爆進曲
20 H.M.A.

ENCORE
01 グッドモーニング東京 w/山中さわお
02 セバナ・セ・バーナ


怒髪天 オフィシャルサイト http://dohatsuten.jp/index2.html

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