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  • #KANA-BOON
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KANA-BOON谷口鮪の復帰ワンマンライヴ。新たな決意を告げた一夜をレポート!

text by 平林道子

【LIVE REPORT】
KANA-BOONワンマンライブ〈Re:PLAY〉
2021.04.18 at Zepp Tokyo(無料生配信あり)



「実際復帰して、俺がどれだけやれるのかわからないから、普段のワンマンより少し時間が短いんですけど……全然やれるわ。もっと長くすればよかった!」と、あと1曲でライヴが終わることへの名残惜しさを口にした谷口鮪。その言葉をはじめ、半年間の休養によるブランクを感じさせない歌声やステージ上で見せる表情からも、バンドが、そして谷口自身が次への一歩を踏み出したことがしっかりと伝わってくるライヴとなった。


Zepp Tokyoにて行われたKANA-BOONのワンマンライヴ〈Re:PLAY〉。バンドにとって約2年ぶりとなる有観客でのワンマンであり、昨年10月より休養していた谷口の復帰ライヴだ。当日会場へは、バンドのファンクラブ会員が無料招待され、久々に彼らが演奏する姿は、公式YouTubeチャンネルとスペースシャワーTV公式LINEアカウントでの無料生配信を通して、多くの音楽リスナーに届けられた。


会場が暗転し、ドラムの小泉貴裕、ギターの古賀隼斗、サポートベースのマーシーこと遠藤昌巳がステージに姿を現わす。そして、ひときわ大きな拍手に迎えられた谷口がマイクの前に立ち、「ただいま!」という言葉を合図に「シルエット」のイントロが鳴り響いた。フロアに放たれた伸びやかな歌声が、復活の報を聞いてもなおあった一抹の不安のような感情をすっと消していく。「バンドにとっても自分にとっても大事な1曲」であるナンバーから、最新シングル「Torch of Liberty」へと繋ぎ、ライヴは幕を開けた。


「本当にお久しぶりです。改めましてKANA-BOONです」と谷口が言い終えるやいなや、「ひとつだけやりたいことがある」と言い、自分が「おかえり!」と叫ぶから大きな拍手やコメントをお願いしたいと呼びかける古賀。感染症予防対策のため声を出すことができない会場のファンや、画面の前のオーディエンスの気持ちを代弁するかのような彼の提案に「そんな申し訳ないよ」と恐縮する谷口。しかしその言葉を遮るように「いや、俺がやりたいの」と言って、嬉しそうに「おかえり!」と言葉を発した。それは、誰よりも彼の復帰を待ち望んでいたメンバー2人の気持ちが伝わってくるシーンであり、どっしりと構えリズムを刻む小泉も、時折歌を口ずさみながらフレーズを繰り出す古賀も、ふたたび完全体でライヴができる喜びを終始そのプレイに漲らせていた。


そんなやりとりのあと演奏されたのは、インディーズ時代に生まれ、ファーストアルバムにも収録された「MUSiC」。〈忘れられない歌を作って、歌おうと思った〉と唄われるこの曲を、メジャーデビュー後初のワンマンライヴで聴いた時、〈忘れられない歌を唄い、忘れられない存在になるんだ〉という瑞々しい野心を感じ、それを当時のレポート記事にも書いたのを覚えている。しかしこの日の「MUSiC」は、その存在が消えたとしても、時を越えて残っていく音楽というものへの希望と、それを胸にこれからも自分は歌を紡いでいくという、決意と覚悟の歌として響いてきたのだった。

その後プレイされた楽曲たち――デビュー5周年を迎え、変革期へと突入した彼らが音楽的挑戦を果たしたミニアルバムからの「ネリネ 」、未来への迷える思いがそのまま綴られたような「街色」や、「シルエット」に続き『NARUTO-ナルト-』作品に提供した「ダイバー」。そして、谷口が生い立ちもふくめて自身の歩みを振り返りながら、音楽やバンドへの想いを綴った「パレード」や、最低な夜を抜けて心から笑えるための煌めきを、と唄う「スターマーカー」――は、どれも発表された当時とは、また違った感覚をもたらしていた。さらに言えば、この日のために選ばれた楽曲は、谷口自身が、休養していた間の心の軌跡を重ね合わせ、その先にある希望の予感を見せてくれているかのような、そんなふうに感じた。
この日、曲の合間に何度となく感謝の気持ちを伝えていた谷口。最後のMCでも、自分の心の均衡が保てなくなって休養に至ったこと、この半年に考えたこと、その間も自分が帰ってくる場所を守ってくれていたメンバー、そしてファンへの感謝を改めて口にした。続けて「大切なもの、大事なものがなくなってしまうなら、消えてしまうなら、俺にできることは音楽を作ることで。幸い音楽を作れる、それを一緒に鳴らすメンバーがいるから。昨日までなかったものを作ることが自分の役割、使命だというところにたどり着いたんです」と真っ直ぐに語り、何かのきっかけで抱えた喪失感を少しでも埋められるような音楽を作る、そんな存在でありたい、という新たな決意を伝えた。


そして「あともうひとつ伝えたいことがあって」と、「あなたは誰かにとって特別なんだ、ということをお互いに思い合いつつ、年をとっていけたらいいなと思ってます」というメッセージとともに、この日のラストナンバー「まっさら」をプレイ。新体制となり、新たな気持ちで前に進もうとするバンドを支えたナンバーとなっていたこの曲で、ライヴを締めくくった。谷口の力強いロングトーン、小泉を中心に顔を突き合わせながら、アウトロを締めくくるメンバーの姿から、ようやくここから新しいKANA-BOONが始まるんだと強く実感したのだった。


もう大丈夫、などと無責任なことは言うつもりはないけれど、以前インタビューで谷口が、「音楽以外で自分を慰めたり、自分を喜ばせることができない人なんやと思った」と笑いながら話してくれたように、この先、メンバーとともにステージに立ち、新たな曲を作っていく中で、より力強く前を見据えていくことだろう。ラストのMCで、「俺らは解散なんてするつもりもないし、バンドがずっと続いていくイメージしか湧かない」とも言っていたように、まだ果てしなく続く道の途中。この先も自分たちのペースで、時には立ち止まってもいいから、バンドの歩みを進めていってほしいと思う。そして最後に。鮪くん、本当におかえりなさい。



文=平林道子
写真=AZUSA TAKADA


【SET LIST】
01 シルエット
02 Torch of Liberty
03 MUSiC
04 ネリネ
05 街色
06 ダイバー
07 パレード
08 スターマーカー
09 まっさら



KANA-BOON オフィシャルサイト https://www.kanaboon.com/

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