• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
COLUMN
  • #Official髭男dism
  • #WEBオリジナル

Official髭男dismの新作「HELLO EP」。鮮烈な強さの裏側に見た、人を求める気持ち

text by 宇佐美裕世

Official髭男dismが今月5日にリリースした「HELLO EP」は、4曲中3曲がタイアップ付きという超強力作。「HELLO」がフジテレビ系『めざましテレビ』のテーマソングで、「パラボラ」が『カルピスウォーター』のCMソング、そして「Laughter」が映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』の主題歌と、三者三様の大型タイアップだ。しかし、タイアップの規模感に引けを取らないくらい、今作で彼らが鳴らす音はスケール感の大きいものになっている。


唄われる内容も然りで、特に「HELLO」に関しては、〈HELLO 360度 僕らを包むこの世のBeautiful/思わず忘れたよ 無傷で生きるバリアを張ってたってことを/そんなものもう必要ないと 気付かせてくれた僕のヒーロー/笑い合えただけで どうにもならないほど溢れるありがとう〉とサビで唄われているように、「自分たちの音楽を愛してくれる人たちと手を取り合って生きていきたい」という、決意にも似た強さが滲んでいるように感じられる。そして、それは4曲目に収録されている、彼らがアマチュア時代にまだCDを手売りしていた頃発表された「夏模様の猫」(再録)の〈君を乗せて旅に出るんだ〉と、どこか通ずる部分がある気がした。


そんなふうに新たな世界と対峙していく覚悟が唄われている一方で、〈決まり文句も座右の銘も/何も持ってない素朴なヒーロー/笑い合えただけで どんな場所へも肩を並べて行けるよ〉という一文があることに引っかかった。昨年、NHK『紅白歌合戦』への初出場を果たしたり、今なおヒット曲を生み続けたりとバンドの勢いは止まる気配など微塵もないのに、なぜ〈決まり文句も座右の銘も/何も持ってない素朴なヒーロー〉と自分たちを卑下しているようにも受け取れる言葉を綴ったのだろうか。そう不思議に感じたのだが、実はこの部分は、藤原聡(ヴォーカル&ピアノ)が常にストイックに音楽に向き合う中で、昔から変わらない「人を求める部分」とリンクしているのではないかと思った。というのも、彼は『音楽と人』のインタビューで以下のように語っていたことがある。


「1人で放っておかれるとネガティヴになっていく人間なので、本当に他者との関わりが大切だと思っていて。作曲期間に1人で家に閉じこもっている時も、1日、2日は音楽のアイディアが浮かんできて楽しくやってますけど、3日目くらいに大概行き詰まって、〈インスピレーションの泉が枯れた。もうダメだ……〉ってダウナーモードに入って。そういう時って友達と会って話したりしないと、抜け出せないんですよ。ライヴでみんなの笑顔を見たり、メンバーに相談して心が軽くなったりして。自分が辛い時に誰かが支えになってくれるからこそ、逆にみんなが苦しい時は自分が支えられるようになっていきたいなっていう思いがあって」


卓越した曲作りのセンスが備わった彼でも当然行き詰まることはあるし、そんな時に自分を救ってくれるのは他者だという。藤原は「HELLO」のタイトルについて「楽曲タイトルの〈Hello〉には、“新しい出来事や感情、人など、人生におけるさまざまな“出会い”に対するあいさつ”という意味が込められています」と語っているが、そんな彼の言葉から、筆者が学生の頃に「挨拶は人間関係を築く上でとても大切なこと。挨拶だけは欠かしてはいけない」と挨拶の重要性を教えてくれた先生のことを思い出した。直接顔を合わせて挨拶をする、何気なく行っている当たり前のことが、明日には当たり前でなくなる可能性があり、新しい人間関係を築いていくことも容易ではない今であっても、音楽を発信していくことで人との繋がりを大切にしていきたい――この曲には、そんな藤原の切なる願いも込められている気がした。


Official髭男dismの音楽は、鳴らす音のスケールやバンドの規模感がどんなに大きくなろうと、この「HELLO」のように、人を求める藤原の素の感情や、音楽に対するピュアな情熱が変わらずに宿っている。そこに知らず知らずのうちに聴く人が共鳴するからこそ、こんなにも多くの人の心に響くのではないだろうか。



文=宇佐美裕世


NEW EP「HELLO EP」
2020.08.05 RELEASE

■CD Only
■CD+DVD

〈CD〉※全形態共通
01 HELLO ※フジテレビ系『めざましテレビ』テーマソング
02 パラボラ ※2020年「カルピスウォーター」CMソング
03 Laughter ※映画『コンフィデンスマンJP プリンセス編』主題歌
04 夏模様の猫


〈DVD〉
Official髭男dism Tour 19/20 -Hall Travelers-@パシフィコ横浜2020.02.10

01 イエスタデイ
02 Amazing
03 Rowan
04 ビンテージ
05 最後の恋煩い
06 旅は道連れ
07 Pretender
08 ラストソング
09 I LOVE…
10 宿命
Behind The Scene from Official髭男dism Tour 19/20-Hall Travelers-

HMVで購入

Amazonで購入

TOWER RECORDで購入

Streaming/Download


「HELLO EP」特設サイト https://hello-ep.jp/
Official髭男dism オフィシャルサイト https://higedan.com/

SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND

THE YELLOW MONKEYツアー終了。今の4人が魅せたバンドの生き様と今後の行く末について

#THE YELLOW MONKEY , #ライヴレポート
WEB ORIGINAL

映像制作会社「祭」、25周年記念イベントを開催。イベントの歩みと込められた思いを主催者に聞いた

畑 芽育×大橋和也W主演映画『君がトクベツ』。松田礼人監督が明かす“愛しい”恋物語の魅力

#大橋和也 , #映画

怒髪天・増子直純連載『後輩ノススメ!〜オセー・テ・パイセン♥〜』〜補講編〜第12回

#後輩ノススメ! , #怒髪天
WEB ORIGINAL

Hump Backの”打上シリーズ”東京編。大人になった彼女たちが提示した深い愛情と優しさ

#Hump Back , #ライヴレポート
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / 最新号 / WEBオリジナル / アーカイヴ / 編集部通信 / 怒髪天 / BUCK-TICK / 映画 / 小室ぺいの自由研究 / 言の葉クローバー / DEZERT / NITRODAY / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / GRAPEVINE / 音楽と人LIVE / PHY / MUCC / 9mm Parabellum Bullet / THE COLLECTORS / a flood of circle / noodles / 中田裕二 / go!go!vanillas / フジファブリック / 後輩ノススメ! / the pillows / 銀杏BOYZ / Mrs. GREEN APPLE / SixTONES / THE BACK HORN / The Birthday / BRAHMAN / ヤバイTシャツ屋さん / UNISON SQUARE GARDEN / SUPER BEAVER / ENDRECHERI / ストレイテナー / KinKi Kids / THE YELLOW MONKEY / 忘れらんねえよ / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / ポルノグラフィティ / aiko / 山崎まさよし / The Songbards / The Songbardsの描写探訪 / KEYTALK / THE NOVEMBERS / MAN WITH A MISSION / 阿部真央