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SHE’Sのニューアルバム『Tragicomedy』。誰かに頼られることで気づいた新たな可能性

text by 樋口靖幸

そもそもアルバムに先行して公開されていた「Tragicomedy」のミュージックビデオが衝撃的だった。薄暗い部屋で膝を抱えたまま、物憂げな顔をした井上竜馬(ヴォーカル&キーボード)。そうやって彼が芝居をしていることにも驚かされたが、とにかく映像の世界観が暗いのだ。最終的にはブランコに乗った女性の登場とともに部屋には光が射し、希望を感じさせるストーリーにはなっているものの、それぐらいSHE’Sのニューアルバム『Tragicomedy』はシリアスかつダークな色合いが濃い作品だ。ここで竜馬は怒りを露わにしたり、ネガティヴな感情を吐き出したりもしている。一体彼に何があったんだ?と心配してしまうような歌詞もある。けど、彼はこのアルバムを通じて新しい自分の可能性に気づいたようだ。自分が誰かに頼られること、そしてそれに応えたいという思い。今の彼は世界がこんな状況であっても、どこまでもポジティヴで頼もしくあろうとしている。



(これは『音楽と人』6月号に掲載された記事です)



髪がずいぶん……。


「伸びちゃいました。この状況で切りに行くわけにもいかず」


まぁそうだよね。絶賛自粛中ですか?(4月中旬に取材)


「そうですね。スーパーとかコンビニ以外は外に出ないようにしてます」


家に引きこもってると、精神的にヤラれる人もいると思うけど、竜馬くんは大丈夫ですか?


「そこまで落ち込んでたり絶望はしてないんで大丈夫です。もちろんライヴができないとか、せっかくできたアルバムのリリースが延期になってしまうのはすごく残念だけど、今しかできないことをやろうと思ってるんで」


例えばどんなことを?


「自分磨き。音楽家として自分の足りない部分を磨くいい機会だと思うようにしてます。いつもは制作とかツアーの合間に歌の練習をしてる感じだからイマイチ効率的じゃなくて。今はスタジオにも行けないから自宅でやれることは限られているけど、練習に集中できるし、自分と向き合う時間もあるし……って思ってます」


こんな状況だから、てっきり竜馬くんは家でへこたれてるんじゃないかと思ってたんだけど。


「僕ひとりがへこたれても何の意味もないんで。世界だったり周りがへこたれてる時こそ、一緒になっちゃダメだと思うんですよ。負の感情って伝播しちゃうし、いいことないから。だったら今できることを考えたほうがいい。軽い言い方になっちゃうけど、ピンチの時こそチャンスだと思うようにしてます」


……そんな前向きな男だったか?(笑)。


「そうは見えないか(笑)。でも僕の場合、うまいこといってる時のほうが心配になるんですよ。幸せを感じるシチュエーションのほうが寂しさを感じちゃうし。だから面倒くさい性格なんですけど」


それは知ってる(笑)。で、そんな男が作ったアルバムなんですけど、全体的なトーンは明るいか暗いかで言えば暗いし、外向きか内向きかで言えば内向きで。


「確かにマイナスの感情が出発点にはなってるんですけど、どの楽曲も最終的に前を向こうとする姿勢にはなってると思います。今はこうだけど、ここからどうしたいのか、どこに向かおうとしているのか、そこは一貫してあるんじゃないかと。そもそも最初に〈悲喜劇〉っていう意味のタイトルをつけてアルバムを作ろうと思ったのも、人間の心と向き合いたいってところがきっかけやったし」


人間の心って、ずいぶん抽象的なテーマだと思うんだけど。


「もっと言うと〈心の病〉というか。それは病気に罹ってるとかじゃなくて、自分でうまくコントロールできない心とどう向き合えばいいのか?って思ったのがスタートだったんで」


え、そんなに辛い状態だったの?


「や、自分のことじゃなくて、僕の身近にそういう人がいたんです。自分の心をコントロールできなくて苦しんでる人がいて、その人のために自分ができることはないか……って思ったのがこういうアルバムを作ろうと思った一番最初のきっかけ」


じゃあ、その人に向けて作ったアルバムだと?


「ていうか最初はアルバムとか関係なくて、ただその人に向けて曲を書きたいし、唄いたいと思ったんですよ。どうしたらその人の心を落ち着かせることができるのか、そもそも心って何なん?みたいなことを考え始めたところから、こういうアルバムを作ろうって思うようになって」


それはまた……ビックリな話だけど、言われてみれば確かにそういうアルバムになってます。


「僕もアルバムができてから客観的に聴いてみて、そういう作品になってると思いました。歌詞とか言葉の使い方とかも」


そういうテーマでアルバムを作ることに、メンバーは同意したんでしょうか。


「アルバム制作に入った時、まず3曲デモを出したんですけど、そこでは特にそういう話はしなくて。次のタームで2曲くらい出した時にミーティングがあって、その時に『こういうアルバムにしたいです』っていう話をしました」


その時のみんなの反応はどうだった?


「どうやったかな……あんまり覚えてないけど、僕の思いだったりアルバムのテーマはちゃんと伝わったと思います。そのぶんアレンジもいつもより慎重にやってくれたというか」


いつも以上にメンバーが寄り添ってくれたと。


「今回は特にそうでしたね。僕がイメージしてる世界を壊さないようにみんなが気を遣ってくれたというか。やっぱりテーマがテーマだけに、自分のエゴよりも僕の感覚を優先してくれたんだと思います」


自分以外の誰かのために何かしたいっていう竜馬くんの気持ちに、3人が応えてくれたんでしょうね。


「たぶん僕がそういう気持ちをメンバーに伝えることができるようになったってことも大きいと思います。変なプライドはどんどん削ぎ落として付き合えるようになったし、自分の弱さとかダメな部分とかをメンバーに出すことにも抵抗がなくなってるんで」


うれしかったんですよ、僕を頼ってくれたっていうのが。自分が人のために何かをやれたことがないって気持ちがずっとあったから

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