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Uruと色褪せない名曲。カヴァー盤で見出した、唯一無二の彼女の魅力について

text by 宇佐美裕世

世代も色も違う、さまざまなアーティストの楽曲を美しく唄い上げる彼女の歌声に魅了されつつ、一度この魅力を知ってしまったらなかなか抜け出せないのだろう、とまで考えてしまった。 


Uruが2017年12月にリリースした1stアルバム『モノクローム』。既に完売となっていた初回盤には、カヴァー曲のみ収録した「カヴァー盤」が付属されていたのだが、発売から約2年半の時を経てアンコールプレスが決定した。アンコールという名の通り、当初のリリース以降、彼女の歌声に魅了され、過去の音源にも触れてみたいと熱望する声が多く上がったのだろう。思い返せば、この2年半で彼女の歌声を聴く機会はとにかく充実していた。『コウノドリ』、『中学聖日記』、『テセウスの船』といった数々の人気ドラマや、アニメ、CM主題歌への抜擢に、テレビ番組初出演――これらの開けた活動が、彼女の歌をより広い世界へ羽ばたかせるきっかけとなったに違いない。 


このカヴァー盤の特筆すべき点は、何と言っても豪華なラインナップである。スピッツの「楓」、小田和正の「たしかなこと」、スターダスト・レビューの「木蘭の涙」、UVERworldの「THE OVER」、尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」、 My Hair is Badの「真赤」、back numberの「ハッピーエンド」、中島みゆきの「糸」といった全8曲。カヴァーの場合、原曲ファンの期待などプレッシャーも大きいはずだが、意外性の強いUVERworldを筆頭に、違和感がまったくないどころか、想像を遥かに超える彼女のカヴァー力には思わず痺れた。詞一つひとつに思いを込めて大切に唄い上げるところ、楽曲によって声の強さや表現の仕方を細かく変えているところ(個人的には「真赤」で魅せた、エモーショナルな歌声が新鮮で心を掴まれた)、そして、ピアノの伴奏と自身のコーラスのみという余計な装飾のない構成。それらを通じて、原曲への敬意と愛情が本作の端々から感じられたし、彼女の誠実で真面目な人となりが投影されているような気がした。 


そして、シンプルなサウンドであるからこそ、Uruの歌声のいい意味での特異性というのが際立ってくる。歌が上手い人はいくらでもいる。しかし、彼女の場合それだけではないのだ。感情がそのまま乗っかったような歌声は、詞の中で描かれている情景をより色濃いものにしてくれるので、楽曲の内容によっては胸をえぐられるような切なさも襲いかかってくる。幻想的で、透き通るような美しい歌声に癒されているところで、こんなふうに真逆の感情も与えてくれるのだから、実に味わい深い。しかし、カヴァーとは、言ってしまえば他人が紡いだ言葉を唄うことになる。にも関わらず、彼女はどうしてここまで感情を込めて唄い上げることができるのだろうか? そんなことを考えていたら、『音楽と人』2020年6月号に掲載したインタビューの中で、自身の性格について尋ねた際、このように打ち明けてくれたことを思い出した。


「私はすごく感情移入をし過ぎるところがあって。感情移入をしてしまう対象は人間に限らず動物もなんですけど、例えば競馬とかで転んでしまった馬とかを見ると、その日1日中悲しくなって、何もできなくなったりするんですよね……」 


感情に訴えかけるような歌を唄える理由、それは、彼女の感受性の豊かさそのものが大きく関係しているのだろう。どんな出来事も、自分のことのように悲しむことができる繊細で優しい心の持ち主だからこそ、自分自身で制作した曲でなくとも、歌詞の中の登場人物の気持ちを想像し理解できる。その一連の流れを、曲ごとに無意識的に行っていたのではないだろうか。そのような天性の才能を備える一方で、彼女はきっとこれまでの人生の中で、普通の人なら素通りするような喜びだったり、反対に苦しみなどマイナスな部分もたくさん受け止めて、一喜一憂したり、心が追い付かない瞬間もあったのではないかと思う。それでも、繊細な自分に屈することなく、表現力として音楽に昇華している彼女は逞しいし、とても麗しい。


ちなみに、本作のリリース日に設定された本日6月15日は、Uruのデビュー4年目の記念日でもある。今後、彼女がさらに活躍の場を広げていくことは想像に難くないが、それに伴い、新たな景色や人に出会っていくことで、彼女の感性はいっそう磨かれていき、表現力の幅もますます広がっていくのだろう。そして、本作の再発売のように、過去の自分が想像もしていなかったような幸福が待ち受けているに違いない。彼女らしいドラマティックな色付けが施されたカヴァー盤を聴きながら、そんなふうに近い未来へ思いを馳せた。



文=宇佐美裕世


1st ALBUM『モノクローム』
初回生産限定B(カバー盤
)
2020.06.15 RESALE


DISC 1
1 追憶のふたり(映画「悪と仮面のルール」主題歌)
2 奇蹟(TBS系金曜ドラマ「コウノドリ」主題歌)
3 フリージア(TVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」EDテーマ)
4 鈍色の日
5 ホントは、ね(Canon 「PhotoJewel S」 CMソング)
6 しあわせの詩(日本テレビ系日曜ドラマ「フランケンシュタインの恋」挿入歌)
7 Sunny day hometown(Canon 「ピクサス」 CMソング)
8 fly
9 The last rain
10 いい男
11 アリアケノツキ
12 娘より(MBS開局65周年記念 新春ドラマ「しあわせの記憶」主題歌)
13 すなお(NTT西日本「ビジネスコールセンタ」Web CMソング)
14 星の中の君(映画「夏美のホタル」主題歌)


DISC 2
1 楓(スピッツ)
2 たしかなこと(小田和正)
3 木蘭の涙(スターダスト・レビュー)
4 THE OVER(UVERworld)
5 OH MY LITTLE GIRL(尾崎豊)
6 真赤(My Hair is Bad)
7 ハッピーエンド(back number)
8 糸(中島みゆき)


Download/Streaming https://smar.lnk.to/VN5Vqd2mAW


Uru オフィシャルHP https://uru-official.com/

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