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INTERVIEW
  • #亜無亜危異
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亜無亜危異、20年ぶりのフルアルバム。彼らがパンクロックで時代を斬る理由とは

ひとりきりで生きていこうと俺は一切思わない。人と関わって、外圧みたいなものがあるから、それを突破したいと思う



前回の取材で、英語だと全然唄えないという話になり。理由を聞いたら「感情の唄い手だから」だと言ってましたね。


「あぁ、あぁ、そうだ」


そうなると、歌詞が自分の感情とイコールである必要はないんでしょうか。


「いや、あるね。だからメロディを端折りたくなったりワードを変えたくなったりする。その、感情の唄い手って言ったのはカッコつけてたんだと思うけど、喋り言葉の唄い手でありたい。ワード自体がリズムを持ってるわけじゃん。(ソ、にアクセントを置いて→)〈そして〜〉とか唄うのは俺的にすごく難しい。本来のワードとは違う音を取っていくことが。だから、ワードとして塊を唄いたいってことなのかな」


すごく強烈なワードを喋るように唄いたい?


「っていうよりは、飛ばしたい。ワードを飛ばしたい。だから滑舌とかも気をつけてて。わかんないけど、〈タ!〉って唄うところを〈チャア〜〉とか、変な英語日本語みたいにしちゃうと、あんまり飛ばない気がするね」


あぁ。太いひらがなでドン!と飛んでくる感じ。


「そう。やっぱり伸一と寺岡(ベース)はずっと音楽やってる中で、ミュージシャンになってきたからね。ほんと大したもんだなって思う。で、俺は音楽的なことは何もやってこなかったから、せめてフロントマンとしていたいなと思う」


フロントマンの役割って何でしょう。


「亜無亜危異っていう看板を背負ってる。ステージの時はさ、フロントマンのために後ろの3人は演奏に集中して、それを俺が受け取って、歌として客に投げる。飛ばす。めっちゃわかりやすい亜無亜危異のキャラクターというと大袈裟かもわかんないけど。俺自身が亜無亜危異の雰囲気をトータルで持ってたいなとは思う。だから伸一が歌作ってきたり、寺岡がリズムをまとめたりしていく中で、俺は一番亜無亜危異っぽいキャラクターで居続けたいなと思う。それがフロントマン」


確かに。今回の「総理大臣」の歌詞も歌になり、茂さんの声で飛んでくると「うわ、亜無亜危異っぽいなぁ」って笑うことができる。フロントマンのキャラクターがあることで中和されるというか。


「あ、それはほんとにある。メロディとかビートがあるから。昔はビートがあったり歌があることで攻撃的になると思ってたわけ。こっちもガーッと燃えるから。だけど逆も然りで、ほんと今言ったようにビートとメロディがあるだけでポップになる。そういうのは音楽のすごさだと思う。これが歌詞じゃない、ただの文字としてあったら、いちいち揚げ足取られちゃうから。だからすげぇシリアスな歌詞書いても、歌、音楽っていうものになってるから受け止めてもらえるんだと思う」


初期は衝動のままにやっていたと思うんですが、今はそこを確信犯的にやれているのかなって思います。亜無亜危異ならこれくらい唄うでしょ、という確信のもとに。


「そう。たぶん伸一が確信犯になりたいんだろうね」


だから今の時代をぶった斬る言葉が多い。


「うん。だってパンクって今でしょ、って俺も思うもん。今起こってることをどう評価するか。やっぱり時代を評価してないとロックじゃねぇし、時代を斬らねぇとパンクじゃないから。そこはポップスと違うところ」


茂さん個人は今の世の中をどんなふうに見ています? コロナはともかく、今この時代というもの。


「うーん、良くも悪くもねぇけど、団体から個への脱却が上手く行ってない」


というのは?


「俺らの時代ってみんな平均的だったの。みんな50〜60点選手、そーんなに突出した奴も出てこないけど、ほぼほぼキャッチボールはできる、九九もできるし字も読める。日本全国が超平均的だったのが昭和の時代っていう気がするんだよね。ガキの間にはタコとかミソって言葉があって、まぁいじめられっ子なんだけど『お前、タコな』『お前、おミソだからな』って言いながらも一緒に遊んでたわけ。で、平成になって、ひとりっ子、一人部屋、ケータイって感じで個の時代になっていくけど、それぞれの個がどう機能していいかわかんなくなってる。それは慣れてないのか、もともと得意じゃない国民なのか」


どっちもあるでしょうね。


「うん。無理くり〈個で生きなさい〉みたいに言われても〈なんか寂しいよう〉って言ってる声が聞こえる気がすんだよな。だけど、どうコミュニケートしていいかわかんない。大人たちもちゃんとした例を見せてくれないしね。みんな子供でいたいんだよ。家族を作っても、母ちゃんになっても、まだ私を見てよ、みたいなこと言って。それはすごく子供っぽいなと思う。今は〈お母さん若いよね〉って言葉が褒め言葉になってるじゃん。昔は40過ぎたらみんな揃ってクソババアだったからね」


はははははは! 確かにそうでした。


「おっさんはもれなく頑固ジジイになっていく。不良は暴走族からヤクザになる。そういうルートがちゃんと決まってたの。だけど今、できもしないクソガキに〈あなたはできる〉って言うだけじゃん。それでみんな閉じ込められちゃってるの」


うーん。ただ、平均に押し込められず個になっていけるのは、いいことでもあると思うんです。


「そう。ちゃんと個になっていけるならね。まだ、どう個になっていいかわかんないんじゃないの? 個になるためにもまず自分の意見を言わなきゃいけない。でも英語でいうディスカッションとディベートって、日本語にないじゃん。〈この題材について話し合いましょう〉とか、めっちゃ苦手じゃん。誰かがイニシアチブを取るか、誰を引きずり下ろすかってことしかやってきてなくて、ほんとにそれぞれが自分の意見を言い合うっていうの、すげぇ苦手な国民だと俺は思ってる」


なるほど。


「で、果たしてそういうことが必要なの?とも思うかな。阿吽の呼吸とか、なぁなぁ、みたいな言葉でイケるところもあったわけじゃん。今は個っていうワードが先行してるけど〈果たしてそれが俺たちに本当に必要なの?〉っていうのを考えたこともない、みたいなところ、ない?」


あぁ、確かに……。茂さんは、本当に個々が好き勝手に生きればいい、とは思ってないんですね。


「それは元来無理。どっちにしたって集団で生きてるのが人間だから、日本人に限らずね。ほんとにひとりっきりで生きていこうと俺は一切思わないし、〈何でも好きに、自由にどうぞ〉とか言われても寂しさしか感じない。やっぱ人と関わって、外圧みたいなものがあるから、それを突破したいと思うんだ。まぁ、ベタな言い方をすれば駄々っ子ってことなんだけど」


ははははははは。


「みんな子供だとか俺が言ってる場合じゃないよな(笑)。でも、いくら大人になっても外圧みたいなものがないと寂しい。外圧があるから反発したくなる。別に反社会的であれとは言わないし、さすがに革命はねぇけども。でも反抗、反逆、あと怒りとかさ。喜怒哀楽で言えば怒、一番エネルギー使うとこ。やっぱそこなんじゃない?って俺はずっと思ってるね」



文=石井恵梨子
撮影=新保勇樹


NEW ALBUM『パンク修理』
2020.05.27 RELEASE

01 馬鹿とハサミは使いYO!
02 ゴッドセイヴだぁ
03 パンクのオジサン
04 洗脳ごっこ
05 総理大臣
06 檻の中の民主主義
07 プレイランド
08 イキってGO★
09 令和の星
10 ノー天気の子
11 世界に羽ばたけロックスター

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タワーレコードで購入
HMVで購入


亜無亜危異 オフィシャルHP http://anarchy-jap.com/

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