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【編集部通信】人生のバイブルはこれです。数えきれないほど影響を受けた、究極の1冊

text by 宇佐美裕世

『音楽と人』の編集部員がリレー形式で、自由に発信していくコーナー。エッセイ、コラム、オモシロ企画など、編集部スタッフが日々感じたもの、見たものなどを、それぞれの視点でお届けしていきます。今回は、再放送中のアニメを見て溢れてきた思いを、アラサー編集者が熱く綴ります。



私はtvk(テレビ神奈川)の回し者でもなんでもないが、ここ最近、金曜23時のtvkが熱い。熱すぎる。令和になった今、テレビから再びあの曲が聴こえてくるなんて思ってもいなかった――『SLAM DUNK』の第1期オープニングテーマ「君が好きだと叫びたい」である。そう、tvkでは『SLAM DUNK』が再放送中なのだ。今の時代、DVDやらなんやらで好きな時に何度だって見られる。でも、この週に1回、テレビで放送されることが重要なのであって! 週に1回のお楽しみ感にどうしようもなく心をくすぐられるし、普通にDVDを見るよりも特別感が増す。それに、今この瞬間、自分以外にも『SLAM DUNK』の素晴らしさを再確認している人がいるんじゃないか……と、架空の同士たちに思いを馳せると妙にワクワクしてくる。ああ! こんな喜びを味わえるなんて、生きていてよかった!


私にとって『SLAM DUNK』は人生のバイブルと言っても過言ではない。思い入れが詰まりに詰まっている。初めて読んだのは今から12年くらい前、兄の部屋にあった完全版タイプ(註:通常のコミックス版よりもサイズが大きく、連載当時カラーで掲載されていたページはカラーのまま収録されている)を読んだのがすべての始まりだった。退屈しのぎでページをめくっていたのに、みるみるうちに惹き込まれていって、気づいたら作中のキャラ全員に感情移入し、彼らと同じように泣き、苦しみ、歓喜する自分がいた。漫画を読むだけでは飽き足らず、物心ついたころから空想が趣味であった私は、すぐさま「神奈川県内の高校に通う16歳」という設定のもと脳内にもう1人の自分を誕生させた(当時18歳だったので若干のサバ読みをした)。湘北バスケ部の練習を、 流川楓親衛隊に圧倒されつつもガン見してる自分を想像するだけでドキドキした。しかし、自分が湘北バスケ部のマネージャーになったら……という設定の空想だけは、恐れ多くてできなかったのだ。自分が乱入することで湘北のあの空気感が壊れてしまうのは嫌だったし、彩子さんだけで十分!と自分に言い聞かせて空想に歯止めをかけていた。にも関わらず、永遠の推しキャラ・海南大附属の神宗一郎と自転車で2ケツする空想を許していたのは、我ながら意味がわからない。数年後、就職を機に上京したことで神奈川県との距離を縮めた私は、『SLAM DUNK』ファンではない友達に付き添ってもらい、作中にも登場する江ノ電に初めて乗車した。いるはずのない奴らをその景色の中に描いたのは、言うまでもない。


『SLAM DUNK』の魅力を一つひとつ挙げていくと、読者の方にとってもはや苦行でしかないレベルの文字量になってしまうので割愛させていただく。しかし、言葉を仕事にしている自分からすると、この漫画は名言で溢れているのがすごいなとつくづく思う。「はいあがろう 〈負けたことがある〉というのが いつか大きな財産になる」「オヤジの栄光時代はいつだよ… 全日本のときか? オレは……オレは今なんだよ!!」「まだあわてるような時間じゃない」「ディフェンスに定評のある池上」など、いろいろな意味で印象に残るものがたくさんある。私自身、編集者として心に残る言葉や原稿を生み出したいとか、そんなことは別に思わない。ただ、自分の原稿で、それまでそのアーティストの曲を聴いたことのなかった人に聴いてみようと思ってもらえる原稿を書きたいとは、常々思っている。素晴らしい音楽を1人でも多くの人に届ける架け橋的な存在になりたい――面白味のない、就職とかの面接のテンプレにありそうな言葉だ。特に「架け橋」という単語を出してくるあたり。しかし、これは私が音楽業界を目指したいと思い始めた学生の頃からずっと抱いてる、変わらない思いでもある。


ちなみに、私が特に好きな台詞は「あきらめたらそこで試合終了だよ」である。『SLAM DUNK』の名台詞といえば、的なまとめ記事でも大抵トップに君臨するぐらい有名。弱気になった時、安西先生のあの声で、この言葉を思い出すようにしている。そうすると、成功できるかもしれないチャンスをみすみす捨ててしまうことや、変われない自分への恐怖心のほうが不思議とデカくなっていって、内側からやる気がじわじわと湧き上がってくるのだ。すごいな、『SLAM DUNK』 。私が単純なのか。いや、やっぱり『SLAM DUNK』がすごい。というか井上雄彦さんがすごいのだ。何度この台詞に救われたんだろう。受験や就職などの人生の局面では、この台詞を呟いている安西先生の絵、もしくは、全く関係ないが松岡修造さんを待ち受けにするのが私の定番だった。大袈裟かもしれないが、この漫画に出会わなかった自分を想像するだけでも怖い。そのくらい、『SLAM DUNK』には大切なことをたくさん教えてもらったのだ。この漫画を読み始めたあの頃に比べたら、私の『SLAM DUNK』熱というのはだいぶ落ち着いてきた。それでも私の中では、登場人物全員が、そして彼らが紡いだ言葉はずっと生き続けているし、これからもこの漫画を通じて得たものすべてを大切にしながら生きていきたい。音楽と人読者の皆さんも、漫画だったり小説だったり、大切にしたい1冊がきっとあるんじゃないでしょうか?  


4月3日には、『SLAM DUNK』のイラスト集が23年振りに発売される。令和になって実現するなんて思ってもいなかったこと、パート2だ。今から待ち遠しくて仕方がない! ……宣伝みたいになってしまったが、別に私は『SLAM DUNK』ならびに井上先生の関係者でも回し者でもなんでもない。



文=宇佐美裕世

鎌倉高校前駅。ニヤけた自分が写り込んでたのでトリミングしたら、正方形になった
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