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INTERVIEW
  • #忘れらんねえよ
  • #最新号

忘れらんねえよ柴田が全裸の自分を惜しみなく出し切ったニューアルバム。裸の言葉を聞く。

歌とか音楽は……自分の言いたいこと以上のことが言えたりする。言語化できない自分の感情を表現できるんだなって



ところで今回のアルバム、いつからああいう形態のものを作ろうって思ったんでしょうか。


「いつからだろう? たぶん一番最初はCD本体に価値を感じないというか、普通にCDを売りたくないと思ったのがきっかけで。だって俺自身ほとんどCD買わなくなったし、自分が買わないものを売りたいとは思わないし」


そうですね。


「だからってCDに特典を付けるっていうのも違うと思って。だったらもっとちゃんとしたモノを作りたい、自分が忘れらんねえよのファンだったら〈それ欲しい!〉って思うようなものを作ろうと。で、俺って漫画が好きじゃないですか。だから本を作りたいと」


でも漫画だけじゃない本になってます。


「あと自伝を書きたいなって思ってたの。そしたら漫画とか自伝とか対談とか、いろんな自分のことが詰まった本になった」


俺、編集者なんで、そっち方面のプロじゃないですか。で、あれを読んで完敗しました。ここまでやる柴田って本当にすごいなって。


「ほんと!? アレってそんなにすごいんだ。でも、ちゃんとバンドが評価されるようになったから作れた気がする。対談相手も素晴らしいメンツが揃ってるじゃないですか。あれだってちゃんとした評価があるから受けてくれたんだと思うし。昔は無理して人気のあるバンドとつるんでツアーに出たりしてたけど、その時はとにかくバンドのことを知らない人に知ってもらいたいっていう思いしかなくて。でも今はそういう発想でバンドやってないから。たぶん俺、いいヤツになったんだと思う」


それも俺が言うセリフだな(笑)。


「ははははは。そうか」


で、柴田の自伝を読ませてもらいましたけども、読まなきゃよかったなと。


「何で?」


自分にも当てはまるエピソードがいっぱいあって。読んでて自分の心がチクチクした。


「そうなんですか!? 例えばどこで?」


酒田くん(酒田耕慈/ドラム。2015年脱退)とか梅津くん(梅津拓也/ベース。2018年脱退)に対して酷いことを言ってる柴田だったり、あとは周りの人にくだらない見栄を張ってる柴田だったり。しかもそのあと自己嫌悪になったり。そういう場面がたくさん書かれてるじゃないですか。


「うん、あれは書いてても辛かった」


普段は俺も自分のそういう部分ってあんまり見ないようにしてるんだけど、ああやって突きつけられると〈俺もこないだ同じようなこと言っちゃったなぁ〉とか。


「なるほどね」


〈もしかして俺って柴田と似てるのか!?〉みたいな(笑)。


「はははは! ヤバいっすね樋口さん。今メンヘラになってますよ」


だからそういう意味で読まなきゃよかったと思いました。


「そうかそうか、メンヘラなのか樋口さんは」


どうして書こうと思ったの?


「自分のことを頭からケツまで書いた時、浮かび上がる何かがあるんじゃないかと思って。書いてる最中にも気分の乱高下があって〈こんな年表みたいな文章書いてて意味あるのかな?〉って思う時もあったんだけど、これを最後まで書いてそれを頭からケツまで読んだ時、読む前にはなかった何かが得られそうな気がして。だから書いた」


じゃあ本自体、そういうモチベーションで作ったと。


「そうですね。で、やってみてわかったけど、音楽と活字って全然違う表現だなって。僕にとっては、文章とか本は表現としては音楽より解像度が高いんですよ。絵で言うと写実主義的というか、分かりやすく伝えられるというか」


ドキュメントってこと?


「ドキュメンタリーに近い感じ。けど歌とか音楽は……自分の言いたいこと以上のことが言えたりする。説明できない何かというか、言語化できない自分の感情。それを音楽は表現できるんだなって」


おっしゃる通りです。


「例えば〈なつみ〉の歌詞って自分が好きな女の子に想いを伝えることができなかった、苦しいっていう、文章にしたらそれだけのことじゃないですか。それだと何も伝わらない。けどそれを歌にすると、言語化できない感情が乗るし、さらにプラスそれ以上の何か問いかけというか、個人的な恋愛の歌以上の何かになるというか」


わかります。「なつみ」も〈ねえ神様 ひとは平等ですか 今日電車に 年老いた親子が飛び込んだ〉とか、柴田の失恋とか関係ない描写があって。


「そう、俺の恋愛とは関係ないことなんだけど、でも関係あるんですよ、絶対。だから入れてる。だから音楽は自分が言いたい以上のことが言える表現で、でも今回はそれだけじゃなくて、もっと自分のことを伝えるために自伝を書いたり対談をやったり、あとは自分の親にもインタビューを受けてもらったり……」


自分の内側も全部ひっくり返して見せたいというか。


「見せたい!」


露悪的というか、人によっては〈ここまでやらなくても〉っていう行為でもあると思うんです。けど、あえてそれを徹底的にやってて。


「そうね。昔はそこをコントロールしてた時もあったんですよ。見せたい部分と隠してる部分を。でもそうしたところでいい結果を生まない。だったら全部出したほうがスカッとする。全裸で校舎を走り回る快感、みたいな(笑)」


ははははは!


「だから〈なつみ〉はMVも出すんだけど、その時ツイートで『好きな人に好きって言えなかったんで歌にした』ってことを言おうと思ってる。それが必然だし、むしろお客さんにはそれを知った上で聴いてほしい」


アルバム自体がそうなってますよね。〈この本で俺のすべてを知った上で聴いてほしい〉みたいな。


「それ含めての表現だから。歌単体で伝えたるよりも、俺という人間の歴史だったり生い立ちだったり、そういう背景を含めてこういうバンドをやって、しかも〈なつみ〉っていう歌も書いた。その経緯をすべて表現したい」

失敗して、自分の醜さを知って。そんな俺をここに全部出せば、自分を愛せるのかなって。だから今、ようやく自分のことを愛せる

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