• HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
  • HOME
  • RANKING
  • NEWS
  • INTERVIEW
  • COLUMN
  • QLAP!
  • MAGAZINES
  • BOOKS
  • ABOUT
COLUMN
  • #編集部通信

【音楽と人編集部コーナー】編集部通信

text by 白崎未穂

『音楽と人』の編集部員がリレー形式で、自由に言葉を発信していくコーナー。エッセイ、コラム、オモシロ企画など、編集部スタッフが日々感じたもの、見たものなどを、それぞれの視点で読者の皆さまへお届けしていきます。今回は、ラジオ番組のディレクターだった編集者が、 〈どんな音楽が好きなのか問題〉について綴ります。



「一番好きな音楽ってなに?」


音楽に関わる仕事をすると、初対面の人に高確率で質問されるのがこれ。前職のラジオ番組の制作をやっている時でもよく聞かれたし、音楽と人に入社する時の面接でも当然聞かれた覚えあり。そういう仕事をしてなくてもライヴへ行ったり音源を購入して楽しんでると、初対面の人に聞かれることってありませんか?


たぶん、アーティスト名やジャンルを答えて、それについてちょっと興奮気味にどういうところが好きなのかを語るのが正解なんでしょうけど、私にはそこまで語れるほど大好きなアーティストはいないし、そもそも一番なんて決められない。ロックバンドも好きだしシンガーソングライターも好きだしヒップホップ系や、テクノとかエレクトロニカなどの電子音楽、クラシックも好きですよ。狭く深くというよりかは広く浅く、というタイプ。だからこの質問をされるといつもモジモジしてハッキリしない。まぁ聞かれるのはしょうがない。だって音楽に関わる仕事をしているんだし、場つなぎとしての質問だったりもする。


じゃあおまえは結局どういう音楽が好きなのか?というと、それは〈自分のサウンドトラックになるような音楽が好き〉っていうのが答えなんだと思う。以前、これを言ったら笑われてしまった経験があったので記憶の彼方に追いやっていた答えだけど先月、話題の映画『JOKER』やビートルズのいない世界を描いた『YESTERDAY』を観て、そうだったわ!って思い出したところ。というのも、この2作品の挿入歌は、なぜこの楽曲をそのシーンで使用したのか、ただのBGMではなく、ちゃんと意味があるってことを、改めて気づかせてくれたのでした。


『JOKER』でいうと、フランク・シナトラ「That’s Life」「Send In The Clowns」や、チャップリンの映画『モダン・タイムス』の挿入歌「Smile」とか。どの楽曲も主人公の気持ちを代弁するような選曲で、クリームの「White Room」は一番印象的な使い方だった気がします。もちろん『YESTERDAY』も同じ。なぜ凱旋ライヴのシーンで「HELP」を唄うのか、なぜエンディングで家族の幸せな日常を唄うビートルズ「Ob-La-Di, Ob-La-Da」が選ばれているのか。音楽の力を借りて表現することで、何が言いたいのか、はっきり伝わってくることって、あるんですよね。


それは、私が昔携わっていたラジオ番組でオンエアする選曲方法もけっこう似ているような気がしていて。前述の映画のように言いたいことを代弁してくれるような楽曲を選んでいたりするんです。例えば、学校や友達のことで悩むリスナーが多い10代向けの番組でよく選曲されていたのはTHE BLUE HEARTS「未来は僕らの手の中」、BUMP OF CHICKEN「メロディーフラッグ」とか(ぜひ歌詞を確認してみてください)。2月はバレンタインだからって、告白を後押しするような選曲もありました(笑)。そういうふうに、誰かのために選曲することもあれば、ただ聴いてほしくて選曲することもあります。


一番記憶に残っているのは、転がり続ける時間や生活について唄っている楽曲だという認識で、七尾旅人「Rollin' Rollin'」をお昼時の番組でオンエアした時。この楽曲に反応したリスナーから「仕事に行き詰まっていましたが、ラジオから流れてきた〈Rollin' Rollin'〉を聴いてなんだか気が楽になりました。ありがとうございます」とメールをいただいたことがあって。ただ聴いてほしくて選曲しただけなのに、その曲が誰かの日常を後押しする場合がある。その事柄自体、忘れられない思い出になっているのはもちろんですけど、何より自分の状況にピッタリ合う楽曲と出会う、というのは奇跡的なことなんだな、とその時に思った記憶があります。そういう楽曲との出会いは、ごくたま〜にあって。出会ってしまったあとは、自分の思い出と一緒に脳内レコード室にしっかりストック。そうやって忘れられない1曲となる。私の話でいうと、勤めていた会社を辞めようと決心した時に聴いていたのはNakamuraEmi「I」。〈大事なものを私の中に 大事なものは折れやすく弱いから/自分で支えてあげましょう〉。自分が大事にしているものはなんなのかもう一度考え、それを大切にしたいのならば、どうするべきなのか。一大決心をさせてくれた曲でした。


もちろん作詞作曲した人の物語が一番のドラマになるし、本来はその人のものだと思う。だけど、自分の人生は自分が主人公であって、申し訳ないけれどもアーティストやバンドのことは、自分の人生においてはアナザーストーリーになる。私にとって好きな音楽とは、その楽曲が自分の日常にハマるかどうか。だから、このバンドだから好きなんだ、というよりも、自分の人生をどう彩ってくれるか、そこが大事なんだと思う。自分の人生にハマるような楽曲に出会えるのなんて人生の中でほんの数曲だけ。そういう音楽が大好きで、そういう楽曲を見つけたいから、いろんな音楽をたくさん聴いているのかもしれません。


では最後に、私が最近よく聴いている曲を貼り付けておきます。


吉祥寺の近くに住み始めて6年が経ちました。新しくできた映画館にもよく行くし、友達が働いている井の頭公園のカフェにもよく行く。朝まで一緒に呑み明かすような仲間もできたし、傷つけ合うようなケンカをする友達もできました。そういう時間って、〈永遠みたいに思えて実は一瞬のこと〉。もしかしたらこの曲と同じようにいつか吉祥寺を離れてしまう時がくるかもしれない。だから、いま過ごしている時間をもっと大切にしたい。そんなことを思いつつ、最近はこの曲を聴きながら吉祥寺に潰れるまで呑みに行ってます!


文=白崎未穂

常連さんにいただいたお高いウイスキー
SHARE
RECOMMEND
RECOMMEND

亀梨和也主演の“超刺激”サスペンス映画『怪物の木こり』。三池崇史監督が明かす撮影秘話

#亀梨和也 , #映画

DEZERTのニューアルバムを徹底解剖する『別冊 音楽と人』が、2024年1月10日に発売決定

#DEZERT

櫻井敦司だけを特集した増刊が12月28日に発売! 過去記事の再録、寄稿など様々な企画が進行中

#BUCK-TICK

Alaska Jam、新体制初のワンマン開催。そこに溢れていたロックバンドの魅力

#Alaska Jam , #ライヴレポート

LUNA SEAが音楽と人1月号の表紙に登場! 2つのセルフカヴァー作を軸に今のバンドを5人が語る

#LUNA SEA
LOAD MORE

© 株式会社音楽と人

FOLLOW US
タグ一覧
ライヴレポート / WEBオリジナル / 最新号 / 編集部通信 / アーカイヴ / BUCK-TICK / 小室ぺいの自由研究 / NITRODAY / 怒髪天 / 音楽と人LIVE / PHY / 僕たちプロ野球大好きミュージシャンです! / MUCC / noodles / 中田裕二 / DEZERT / フジファブリック / go!go!vanillas / the pillows / 銀杏BOYZ / THE BACK HORN / GRAPEVINE / THE COLLECTORS / The Birthday / ENDRECHERI / SUPER BEAVER / 吉井和哉 / ストレイテナー / 2019年プレイバック&MY BEST MUSIC / SixTONES / BRAHMAN / UNISON SQUARE GARDEN / Mrs. GREEN APPLE / KinKi Kids / 山崎まさよし / a flood of circle / 古市コータロー / 阿部真央 / 社歌を作ろう! / メリー / 忘れらんねえよ / The Songbardsの描写探訪 / The Songbards / ポルノグラフィティ / 後輩ノススメ! / aiko / 坂本真綾 / KEYTALK / People In The Box / 新木場ナイトカーニバル