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  • #ライヴレポート

何度だって、このバンドに痺れる。Alaska Jamの魅力を再確認した一夜について

text by 宇佐美裕世

【LIVE REPORT】
Alaska Jam 3rd ONE-MAN LIVE 『MADE IN ALASKA 3 』 
2019.11.15 at 代官山UNIT



大人になって得るものは、良くも悪くもたくさんある。その悪いものの一つが〈愛想笑いをすること〉だと思っている。たいして面白くないことでも、その場の空気を壊さないように、とりあえず笑う。表情筋がピクピク引き攣ってることを実感しながらも、とりあえず笑う。なるべく愛想笑いはしないように心がけているが、ついやってしまう瞬間がある。そして自分に対して嫌気がさす。愛想笑いを全否定するわけではないが、できれば心から笑える時間のほうが圧倒的に多い人生でありたい。そんな時間を作ってくれるのが、Alaska Jamのライヴだ。独自のサウンドを通じて、いついかなる時も笑顔にしてくれる、救いのヒーロー的存在である。


そもそも、Alaska Jamの曲には科学的に解明しきれない不思議な力が潜んでいる気がしてならない。どの曲を聴いても細胞1個1個が活性化している感覚に陥り、気がつけば笑顔になり、否応なしに身体が動いてしまう。血が騒ぐとはこういう状態を指すのだろうか? おまけに、アッパーな曲から心に染みる憂いを帯びた曲まで、彼らが生み出す音楽の振り幅というのは非常に大きい。だから、ライヴ中も笑ったり浸ったり感情が忙しい。取材で入っている身としては、彼らの一挙手一投足をしっかり記録しておきたいところだが、こちらもつい夢中になって観てしまうので非常にメモが取りづらい。いい意味で、Alaska Jamはライター泣かせのバンドじゃないだろうか。


そんな彼らが、11月15日にファーストEP「EPISODE:Ⅰ」を携えて3度目となるワンマンライヴを開催した。会場は自身最大規模の代官山UNITということで、最初こそヴォーカル・森心言の表情には緊張の色が滲んでいた。1曲目の「ALASKA FUNKY 4」が始まる前、胸に手をあてて深呼吸をする姿が印象的だったが、そんな彼に対して「あれ、心言さんもしかして緊張してます?」と茶々を入れるのが小野武正(ギター)だ。「でも、今日ここにいる人はみんな味方だから」と小野が続けて話す。確かに、今日はワンマンであって、観客は皆Alaska Jamだけを求めてやって来ているのだ。そうやってごく自然にリラックスさせるチームプレーの良さも、来年で結成10周年を迎える付き合いの長い彼らだからこそなのだろう。


「ワンマンライヴでは聴けない曲はきっとない」という森のツイッター上での予告通り、当日はこれまでにリリースされた曲は全て披露された。どの曲が来てもひたすら楽しいのがすごい。つまり持ち曲にハズレがないということだ。そんな中、個人的には新曲「MY VINTAGE」が披露されるのを今か今かと待ち望んでいた。小野が15年ぶりにギターを購入したことがきっかけで誕生したこの曲には、数多あるヴィンテージギターの中から新たな相棒と出会えた感動などが溢れている。〈奪われたこの両目/ビビビッと共鳴〉――思わずこの歌詞と、彼らのライヴを初めて観た時の自分を重ね合わせた。それは、小難しいことはごちゃごちゃ考えず、ただ音に身を委ねて楽しむことを初めて知った瞬間でもあった。


初めてAlaska Jamのライヴを観たのは4年前、clubasiaで開催された彼らの自主企画イベントだった。Creepy Nutsやrega、ライムベリーといった個性豊かな共演者に埋もれることなく、彼らは自分たちにしか鳴らせない音を轟かせていた。ロックでもヒップホップでもファンクでもない。というか、各ジャンルのいいところをギュッと凝縮したような不思議な音。みるみるうちにハマって、抜け出せなくなった。一見、菩薩のような優しい笑みを浮かべる森の魂に訴えかけてくる熱い歌声、石井浩平のソリッドで骨太なベース、山下賢の正確無比かつ巧妙なドラム、そして小野のファンキーなギター、どれも人を惹きつける力が半端ない。特に小野に関しては、Alaska Jamの曲をよく聴きもせず〈KEYTALKと同じだろ?〉などと思ってる人がいたら、それは大きな間違いである。声を大にして訂正したい! Alaska Jamで鳴らす彼の音は、端的に言えば渋いし重厚感がある。〈よくもまあ、こんなサウンドを思いつくな〉と、何度聴いても惚れ惚れしてしまう中毒性のあるメロディを生み出し、観るからに難易度の高そうなそれを活き活きと奏でる彼に対して、奇才っぷりを感じずにはいられなかった。正直、初めて観た時から今でも、彼が演奏している姿を観ていると瞬きするのさえ惜しいと思ってしまう。


メンバーの高度なプレイだけでなく(ちなみにUNITでのライヴの時は、石井がさりげなく背面弾きを披露し観客&小野の度肝を抜いた)、Alaska Jamのライヴは見どころしかないところもいい。話が盛り上がり過ぎてなかなか曲に進まないMCも、毎度必ず披露してくれる必要以上にクオリティの高いモノマネ(褒めている)も、とにかく面白い。さらに、今回は新しい試みもいくつか敢行された。まずは、ドローンによる撮影。新曲「PUMP IT UP」のMV撮影の一環ではあるが、メンバーの周りをドローンがゆったり旋回する光景は何とも異様。森に至っては「気になる~!」と笑いながら零していたが、その一方で、小野は逆にドローンを追いかけるという荒業を繰り出していた。さらに、グッズにはバンド史上初のガチャガチャを導入。中身は、高校生の頃のメンバーの写真を使用したスマホのケースなどを用意したという。マニアックにもほどがあるラインナップに思わず爆笑してしまったが、ガチファンにとっては垂涎ものだったのではないだろうか(正直私もちょっと欲しかった)。こういった観客を楽しませるための創意工夫が施されているところも、このバンドの魅力である。


話を戻すが、「MY VINTAGE」を聴いていると、セッション形式でカッコいい音を追求し合う彼らが浮かんでくるのもお気に入りポイントだ。Alaska Jamは生音にこだわり、ずっとセッション形式で曲を作り続けている。セッション形式で作ることに膨大な時間も労力もかかることは、素人の自分でも容易に想像がつく。しかし、何よりもグルーヴ感を大切にして、その制作スタイルを貫くところがたまらなくカッコいい。そして、そのグルーヴ感はもちろんステージ上でも反映されている。この日のMCで、メンバーは終始「自分たちをここまで連れてきてくれたのはお客さんのおかげ」と口にしていたが、むしろ自分を含め、観客は彼らから滲み出るグルーヴだったり、〈この4人で音を奏でる楽しさ〉に導かれてここまで連れてきてもらった気がする。


願わくば、彼らにとって、この4人で音を鳴らすことがずっと楽しいものであってほしい。そして、曲を通じて多くの人を笑顔にしていってほしい。ひねくれた筆者のような人間だけでなく、多くの人にとってAlaska Jamがヒーロー的存在になる日もそう遠くないのではないだろうか――ステージ上で心底楽しそうに、時折目を合わせながら演奏する彼らを観ながら、そんなことを確信した素晴らしいライヴだった。


文=宇佐美裕世
写真=後藤壮太郎



【SET LIST】
01 ALASKA FUNKY 4
02 カミナッチャ!
03 MY CONVERSE
04 MY VINTAGE
05 Hello from Asia
06 Sooooocial
07 スーパースパイシー
08 モラトリアムコレステロール
09 Black Coffee
10 Love me Hate me
11 Champagne
12 Risky Whisky
13 REBEL REBEL
14 GOOD FOOT MONKEYS
15 Just Living
16 焼酎
17 FASHION
18 少年と樹
19 東京アンダーグラウンド

ENCORE
01 PUMP IT UP
02アニマルズ
03 BLUE
04 Jump Around

音楽と人1月号(12月5日発売)では、Alaska Jamのインタビューを掲載します。お楽しみに!

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