2日間かけて更新してきた音楽と人編集部ARABAKI通信もこれがラスト。今年も素晴らしい2日間だったアラバキ。この様子は『音楽と人7月号(6/5発売)』でも、お伝えします! お楽しみに!
日中は昨日とは打って変わって暖かい日差しに包まれていたが、日が落ちると一気に冷え込むという、東北らしい気候となったアラバキ2日目。
この日のお昼、フォトグラファー橋本塁のSOUND SHOOTERブースにて、9mm Parabellum Bullet菅原により弾き語りが急きょ発表された。こういう突然のステージもアラバキならでは。急な発表だったにもかかわらず、本番の夕方にはたくさんの人が集まっていた。昨日メインステージのトリを努めたバンドが、地声が後ろの人まで届くような狭い簡易スペースで弾き語り、というのはなんだかすごい光景だ。
いろいろなトラブルが重なり予定していたよりもスタートが遅くなったが、それすらも楽しんでいるような卓郎。昨日の9mmのステージでもたくさんのゲストを招いて無防備な笑顔を見せていたが、アラバキで観る彼はいつでもリラックスしていて楽しそうだ。そういえば、昼間に東北ライブハウス大作戦のステージに登場したホリエアツシも、お客さんに心を開き、まるで遊ぶようにギターと歌を聴かせていた。
アラバキというフェスの空気が彼らをそうさせるのだろう。そんな彼らを見ていると、やはりこちらも日頃のいろいろなものを払い落とし、心の底からこの空間を楽しめる。TSUGARUステージでBIGMAMAが「Paper-craft」を伸びやかかつアグレッシヴに聴かせた時、近くにいた親子が一緒に踊っていた。ジャンプするお母さんの周りを子供がグルグル回っている。いつもは母親だけど、ここでは今は誰もがひとりのリスナーでしかない。普段はスーツ着てるサラリーマンも、制服着てる学生やアルバイトも、そして私も、あなたも。みんなそういう場所を求めて、毎年ここに足を運ぶのだろう。
そして、この日のハイライトはやはりMICHINOKUのトリを飾ったthe pillows。
間もなく迎える30周年をお祝いするべく、数多くの後輩、そして山中さわおが敬愛する大先輩の佐野元春らがゲストとして登場。自分たちのことを愛してきてくれた後輩をステージに呼び込む時の山中はなんとも誇らしげで、どこか少し照れくさそうでもある。GLAYのTERUの先導で、観客からお祝いの言葉をもらい、ハニカム姿も。みんなからの「おめでとう」「愛してる」という言葉は、まぎれもない事実だ。それは30年間、真摯に音楽と向き合い続けてきた彼らだからこそ、送られるべき言葉でもある。the pillowsを愛する人たちが一堂に会し、同じ思いを共有する。こんな素晴らしい景色は、やはりこの場所でしか観られない。
アラバキも今年で19回目。来年はついに20回を迎える。長く続けることは容易じゃない。アラバキだって幾多の困難や危機があった。しかしそれをひとつひとつ乗り越えて今がある。また来年もこの場所で、ここでしか味わえないものを体感したい。
文=竹内陽香