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「生きていたいと思う 愛されてるなら」。感謝と希望にあふれたBUCK-TICKツアーファイナル

text by 金光裕史

【Live Report】

BUCK-TICK TOUR No.0 -FINAL-
2018年12月29日at 日本武道館



〈生きていたいと思う 愛されてるなら〉

アンコール。「感謝の気持ちを込めて」という櫻井の言葉に続いて披露された「鼓動」。10月から行われていた〈TOUR No.0 -Guernican Moon-〉のラストは常にこの曲だったので、特に目新しいわけではない。しかしこのフレーズが胸に刺さった。メンバー紹介で、客席からの大きな拍手を受け、こみ上げてくるものを抑えきれず声を詰まらせた櫻井の姿と同様、そこには彼のリアルな心情が現れていた。


12月29日の日本武道館。この日は19年間続くBUCK-TICKとファンにとっての年末恒例行事となっている。〈THE DAY IN QUESTION〉としてリリースとは関係ない選曲のライヴをする時もあれば、今回のようにツアーファイナルとして位置づけられることもあるが、1年の終わりを実感し、また来年ここで会おうと約束する場所なのは同じ。ファンにとってはちょっと早い初詣みたいなものだ。

しかし今回ばかりは少し状況が変わった。12月9日、Zepp DiverCity TOKYOでのライヴ終了後、櫻井が不調を訴え、検査の結果入院となり、福岡、熊本、京都のライヴが延期された。そのためこの日は〈櫻井敦司の復帰〉という意味が加わった。本人としては本意ではないだろうが、ファンは気を揉んでいたに違いない。開演前もいつもと違う、なんだかそわそわした空気が会場にあった。


ところがライヴが始まるとその空気は一変。安堵に変わる。ステージに現れた櫻井は、軍の制帽に羽織をまとい、予想外の「GUSTAVE」からスタート。猫をモチーフにしたこの曲は、『No.0』の中でもノリがいい曲で、会場は〈Cat Cat CatCat Cat〉と大合唱。今井も猫じゃらしで客席を煽る。こうやって笑顔で楽しめるような選曲にしたのは、シリアスな空気を払拭したかったからだろう。

また羽織を脱ぎ捨てると、櫻井の下半身は、短パンにガーターベルトで太ももは露わ。エロスというか退廃美というか、巨大な2面のスクリーンにそれが映し出されるたびに「これ、生中継してるんだよな……」と余計な心配が頭をよぎる。しかし櫻井の声は絶好調。9日のライヴでは立つのもやっとな姿だったのが、魔王仁王立ち。「光の帝国」前のMCではニヤリと笑って横ピース。いつも以上に声にも張りがある。完全復活だ。


ただ今回の体調不良は、永遠なんてないんだ、という事実を僕たちに突きつけたところもある。そしてBUCK-TICKというバンドには、生と死、がテーマとして根っこにある。だからこそ今、この瞬間を全力で愛おしむ。それを実感したことで、より、ライヴという一瞬にかける熱量が、客席もステージも高まっていた。そんな気がした。

そしてこのひとまずのファイナルは、そういう事実も含め、『No.0』という作品を完結させた。このアルバムは、櫻井の〈生と死〉に向き合う姿を演じた側面と、今井の持つ〈死〉を背後に感じつつも自由に生きようとする側面が絶妙に調和しているが、ライヴでそのカラーがより強く出た。特に今井の楽曲は、シュルレアリスムに影響された部分が強く、理性から離れ、自由であろうとする。オープニングSEとなっていた「ノスタルジア -ヰタ メカニカリス-」にそのメッセージが色濃く出ていたし、その後の「光の帝国」や「IGNITER」にも顕著だったが、そこに「美醜LOVE」のような、人間のどうしようもない愚かさとその美しさを描く櫻井の世界観が重なっていく。特に最初のアンコールでは「零式13型「愛」」と「ゲルニカの夜」「胎内回帰」と、櫻井のカラーが強い曲をまとめたことで、そこにある〈生と死〉のメッセージがより伝わるものとなった。


さらに30年以上続いているからこそのグルーヴが素晴らしかった。特に「BOY septem peccata mortalia」で、ヤガミ、樋口、星野、今井がアコースティック風に音を奏でていく姿は、信頼がにじみ出ており、このバンドにしか出せないものがあった。またこの日、櫻井のことがあったからなのか、メンバーのアクティヴな動きが目立ったのも印象に残った。

このような継続ゆえの魅力は、長く続けば続くほどルーティンなものになりがちで、バンドとして行き詰まったりするものだが、このバンドにはつねに革新がある。揺るがない信頼と愛情が革新を許す。そして誰にも侵されない、ずっと変わらないものが自分たちにはあることを、言葉にせずともわかっている。ゆえに大衆に寄り添うことなく、つねにバンドだけに向き合えた。それだけを信じてこれたからだ。そのことがよくわかる、誰にも真似できない素晴らしいステージだった。


ラストの「夢見る宇宙」を終え、メンバーがステージから去ると、スクリーンにこのツアーの足跡が映し出される。そして〈2019〉という文字に続き、5月25、26日の2日間、幕張メッセ展示場9・10・11ホールで〈ロクス・ソルスの獣たち〉と題されたライヴが行われることが告知された。これは新たな始まり。5人の歩みはまだまだ続く。その一瞬一瞬を共にすることで、僕たちも生きていることを実感する。BUCK-TICKというバンドと人生を共にできることは幸せだ。


文=金光裕史
写真=田中聖太郎写真事務所


Set list

SE
01 GUSTAVE
02 Baby, I want you.
03 美醜LOVE
04 光の帝国
05 Ophelia
06 サロメ- femme fatale -
07 IGNITER
08 月蝕
09 BABEL
10 Moon さよならを教えて
11 Cuba Libre
12 Mr.Darkness & Mrs.Moonlight
13 BOY septem peccata mortalia
14 薔薇色十字団 - Rosen Kreuzer -
15 Memento mori

Encore 01
01 零式13型「愛」
02 ゲルニカの夜
03 胎内回帰

Encore 02
01 TANGO Swanka
02 狂気のデッドヒート
03 鼓動
04 夢見る宇宙

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