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スキマスイッチ15周年ライヴ。ステージには〈いつもの2人〉がいた

text by 樋口靖幸

【Live Report】

スキマスイッチ「SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~」
2018年11月10日at 横浜アリーナ

 


 

ド派手な白のライダースジャケットを着ていること以外、大橋卓弥の様子は取材や打ち上げで呑んでる時と同じ普段の彼のままステージに立っている。そんな相方に対する常田真太郎のツッコミや放置っぷりもよく見かける光景。いつから2人はこんな大きなステージの上でも〈いつも通りの自分〉でいられるようになったんだろう。全曲携帯電話による写真及び動画撮影OKという異例のサービスの中、客席を囲むように作られた花道を練り歩き観客からの撮影に応じる2人の姿を、自分自身もスマホに収めながらそんなことを考えていた。

15周年アニバーサリーを祝う横浜アリーナ単独公演2デイズ。10周年のアリーナツアー同様、豪華仕様のステージだ。いつものバンドメンバにホーン隊やストリングスまで加えた特別編成。「Ah Yeah!!」で始まったライヴは、オープニング映像をはじめいつもとはまるで違うはずはなのに、当の本人たちはいつも通り音楽と向き合っている。普通ならガチガチに硬くなってもおかしくない状況下だろう。でもそうなってる様子はビジョンに大写しにされる2人の表情からも見られないどころか、やたら楽しそう。よくもまぁこんなに手の込んだ演出の中、しかも1万4千人のお客さんを前にそんなに嬉しそうな顔をするもんだな、と感心してしまう。もちろんそこにはお客さんと結ばれた強い繋がりがあってのことだろう。でも決して身内ノリというわけでもない。アットホームな空気はあるけど2人もお客さんもその関係に甘えることはない。むしろ〈これでもか〉という過剰さで、音楽の素晴らしさや感動を全身全霊で伝えようとする2人、そしてそれを真正面から受け止めようとするお客さんとのぶつかり合い。その瞬間が繰り返し行われるようなライヴなのだ。だからスマホ撮影だってみんな節度を持ってやっている。音楽の楽しさが写真を撮ることよりはるかに優っているのだ。

「たとえそれがスキマスイッチじゃなくてもいい。とにかく僕らは音楽の楽しさをもっと知ってほしいと思ってる」――何年か前、大橋はそんなことを訴えていたことがある。10周年以降の彼らは、そこをテーマに自分たちの音楽をアップデートし続けてきたと言っていいだろう。楽曲を大胆にリアレンジした作品を出したり、10分以上もバンドのフリーセッションをステージで行ったり。一時期その様子がずっと背負ってきた〈ポップス〉という看板を下ろそうとしているのではないかと思ったこともあった。マニアックで主体性の強い自分たちを主張することで、今までのスキマスイッチとは何か違うものになろうとしているのではないかと。

でも実際の彼らはひたすら音楽で受けた感動や喜びを知ってもらいたいだけで、そのために培ってきた15年の経験やスキルや人間性、そのすべてをこの2日間で余すところなくステージに消化しようとしていた。だから隠すこともなければ偽ることもない、〈いつも通りの自分〉でいることが、この2日間における彼らの命題だったのだろう。どれだけ彼らが飾らないステージをやってのけたのかを知りたければ、「#スキマスイッチ」でツイッターを検索すればいい。山のようにヒットするお客さんが撮影した動画や写真が動かぬ証拠なのだ。

そして個人的には「冬の口笛」をこのタイミングで聴けたことが感慨深かった。ライヴで聴くのが久しぶりだったこともあるが、今4枚目のシングルとしてこの曲を出した当時の彼らは〈いつも通りの自分〉とはかけ離れていたのだ。品行方正なライヴ、当たり障りのないインタビュー。不安や本音を人前で明かすことなんてできなかった当時の2人が、今は生身の自分でステージに立っている。あの頃の2人を思えば、ずいぶん遠いところまで歩いてきたんだな。そんなことを思わずにはいられないライヴだった。

ちなみに翌日の公演は初日とは逆順で組まれたセットリストだったという。初日は白から赤へのお召替えだった衣装も、赤から白への順番。〈Reversible〉=リバーシブルという公演タイトルにそんな仕掛けがあったというのも、どこか彼ららしいと思った。リバーシブルは、一般的には表と裏のどちらも使える服のことを指す言葉だが、今の彼らには表も裏もない、そのことを自ら明らかにするための2日間だったような気がする。

 

文=樋口靖幸
写真=岩佐篤樹、古賀恒雄

Set list (11月10日)

01 Ah Yeah!!
02ユリーカ
03 ゲノム
04 トラベラーズ・ハイ
05 螺旋(らせん)
06 Revival
07 藍
08 奏(かなで)
09 双星プロローグ
10 冬の口笛
11 life×life×life
12 未来花(ミライカ)for Anniversary
13 ボクノート
14 パラボラヴァ
15 蝶々ノコナ
16 SL9
17 view
18 全力少年

encore
01 Hello Especially
02 虹のレシピ
03 ただそれだけの風景

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